リバロス キャニオニック52M
バルサミノー5cm(出商店・オリジナル)
カーディナルC3&ジュラルミンスプールRULER
(出商店・チューン&オリジナル)
PEライン0.8号&ナイロンリーダー8ポンド
友人謹製
信越地方 某山岳河川
2025年初夏
日中
晴れ
未計測
未計測
アングラー:長野のJustin HieHer(ながののジャスティン ヒーハー) 長野県長野市在住

この夏は本当に暑かった。
どんなに標高の高い高原まで行っても暑い。
普段は涼しいヤマメの川も暑い。
そんなときは、グーンとさらに山を登って、
長野と隣県の県境の谷川で、イワナ釣りが一番の涼だ。
そう思い立って車を走らせた。

数年ぶりに訪れたその川は、
クマの出没事件もあったりした秘境のジャングルを流れ、
漁協も放流事業はほったらかしの、野生のイワナオンリーの川。
…だった。
…そのはずだった。
…私の記憶では、確かにそうだった。

その日までは…

山を登り、車を河原に止めると、
初老のフライフィッシャーマンがいて、少し話をした。
ボク
「こんなクマしかいないところによく来ますね~」
フライフィッシャーマン
「お兄さんもね(笑)。ニジマスを釣りに来たの?」
ボク
「へ? ニジマス? そんなのいませんよ、ここ」
フライフィッシャーマン
「いやいや ニジマスしかいないよ、ここ(笑)」

そ、そんなバカな!?
確かに、昔もほんの少し、ニジマスがいたにはいた。
が、イワナが9割近かったはずだ。

フライフィッシャーマン
「その感じじゃ、どうやら最近来てないね。
この何年かでニジマスと入れ替わっているよ
試しに投げてみ、そこらじゅうにニジマスがいるから。
イワナはいないよ」

そんなことってある?
試しにサンダルのままミノーを投げ入れたら、
尺くらいのニジマスがもんどりうってミノーを追ってくる…
マジか、どうした、ここは日本だぞ、えらいことだ。

ウェーダーに着替え、
熊笹に埋もれたチョークストリームを少し遡行する。
投げれば必ずといえるほどチェイスかアタリがある。 
一つのポイントで1匹釣れるまでに、
必ずといえるほど、ロッドをのすようなやつがヒットしてバレる(笑)。
そしてどれも美肌、ヒレピン、黒点バリバリな、貴賓のあるニジマス。

いや、あえて、レインボートラウトと言いたい。
野生化した鱒、自生している感満載の美鱒ばかりだ。
一体何があったのだ、この川に。

ちょうど、ハンドメイドミノーを企画していたので、テストにもってこい。
絵に描いたように、思ったところで、何匹も湧いてくる。
試したいアクション、ロッドワークで、必ずといえるほどヒットするし、
なかには、キャスト後、着水前の落ちパクまで起きて、
もうワチャワチャ状態だ(笑)。

昼前に入渓して、
お昼過ぎまでの短時間で釣りまくって、その日は退渓した。

「しばらく誰にも見つからないでいてくれ」
ボクの密かな楽しみにしようと思って、誰にも言わずに黙っていたが、
真夏過ぎごろだったか、インスタグラムで、
「むむっ? あの川? あのニジマス?」
と見受けられる、知らない方の投稿を目にしました。
それを皮切りに、続々と、また同じような投稿が…
「見つかってしまったのか? 終わりか、もう?」
なんで景色とか丸出しで、地名や河川名をタグ付けするんだい…
意味がわからない…

そう思っていたら、いてもたってもいられなくなりました。
お盆過ぎに再度その川へ行ってみたところ、
案の定、熊笹のジャングルは人の踏み跡だらけ。
車を止めるスペースには、釣り具店の紙袋とルアーの空パッケージが。
ニジマスたちはスレスレ。

SNSを始めとした情報発信ツールの台頭は、
利用するアングラーも増え、何かと便利ではあります。
同時に、渓流釣りのように、
基本的なマナーや流儀や気遣いのある楽しみにおいては、
よく考えて情報発信しないと、
狭い日本、あっという間に川の渓魚は枯れそうです。

ボクもSNSを使って釣りを楽しんではいますが、
配慮と危険性、その辺りは要注意だなと、
そんなことを、山の上の谷川で痛感した夏でした。
もちろん現場では、クマの存在も要注意ですね。