リバロス キャニオニック60M
バイラ50XH(エクストラヘビー) Sヤマメ
セルテート2004CH
PEライン0.8号&フロロカーボンリーダー6ポンド
ブレイドバー ガンメタ
長野県 千曲川(ちくまがわ)
2016年3月22日
午後2時30分
快晴
未計測
10℃
アングラー:坂谷内康明(さかやち やすあき) 長野県北佐久郡在住

快晴。
春がすみの向こうに、冠雪した八ヶ岳連峰が青紫に浮かぶ。
先週降った雪はどう影響しているか。
気まぐれなイワナを探して、今年は解禁から中・渓流の釣りに徹している。

道すがら入川してみたが、まだ水温は8.5℃。
もう少し春の早いエリアに移動する。
日差しに少し力強さを感じる様ようになってきた。
日当たりのいい林の中でユスリカが群れ飛び、枯れ枝には硬い蕾が出ている。
標高1,000mを超える高原にも遅い春が見え始めていた。

水温は10℃。
生命反応の希薄な川を、
目ぼしいポイントごとにたたいていくが、チェイスもアタリもなし。
それでも本命を求めて、ボトムの釣りを突きとおす。
ラインの先には『バイラ50XH』。
3連休明けの火曜日には、信頼できるミノーが欠かせない。

水深のあるプールに、中・小・大と岩が沈んでいた。
開いた流れが閉じながら流速を落として、順にそれらの岩に当たる。
対岸にある一番大きな岩は、合流した分流も掠めていた。
まずは、一番手前の流れに乗せて中岩の前部をレンジを落としつつ数投、
続いて中岩の後ろと小岩の前部を狙って数投。異常無し。

プールの水深がつかめてきた。
分流の流れ込みの頭に『バイラ50XH』を落とし、
しっかりと沈めてからボトムレンジをキープしつつ、
アクションを入れながら大岩の脇に送り込むと、
「クッ」
という極小さなアタリ。
半信半疑で小さくアワセると魚が乗った。

「よし、やっと来たか」
そんな安心するような手応えの先で、予想を大きく超えた魚が反転した。
「!!」
急いでリールを巻き足しつつ、スイープ気味に追いアワセを入れ、
そのままのストロークで岩周りから魚を引きはがす。
透きとおった流れの中で、
野太いイワナがPEラインをズルズルと引き出し抵抗する。

アワセの甘さに不安感を残しつつやり取りを進める。
水温の低さからか派手な暴れ方をしないが、その分なかなか頭を上げない。
ファイトを長引かせるのを嫌って一気に勝負をつけにいくが、
ランディングネットを蹴るように暴れられ、入れ損ねる。
「危ない!」
しぶとくこちらに頭を向けない。
魚の脇に踏み込んで回り込み、なんとか頭からネットイン。
ランディングネットの中でも、ブンブンとしつこく暴れていた。

やっと出た本命。
ビール大瓶以上ある太いイワナ46cm。
上顎の割れた大きな口も印象的だが、
胸ビレ・腹ビレ・尻ビレがとにかく大きく張っている。

上から見ると鯉のようなシルエット。
背中の虫食い模様が少しグロテスクにも見えた。

早春の午後の陽光を受けて輝いて見える。
この寒い季節の高原に、
この体躯を維持するためにはどんな餌をどう追っていたのか。

そんな事をあれこれ想像させる野性的なイワナだった。