リバロス キャニオニック60M
プラスチック製シンキングミノー63mm
ルビアス2004H
PEライン0.8号&フロロカーボンリーダー6ポンド
ブレイドバー ガンメタ
長野県 千曲川(ちくまがわ)某支流
2015年7月21日
午前5時30分
曇り
未計測
17.5℃
アングラー:坂谷内康明(さかやち やすあき) 長野県北佐久郡在住

なんとなく空気が重いような、緩い風が身に纏わりつくような、違和感のある朝。
不快な上半身に対して、ウェーダーから伝わる朝の水温がわずかに救い。
ぬるくもなく冷た過ぎず、魚はこの水温・気候をどう感じているのか。

アップストリームで白泡の下に入れた53mmのミノー。
ショートピッチのトゥイッチを入れながら、流下させること数投目。
「ピシッ」
と弾くようなアタリがPEラインから伝わってきた。
「またか」
シビアなヤマメのちょん食い。
最近は2回目のチェイスはほぼ期待できない。
ダメ元で63mmのヘビーシンキングにつなぎ替える。
見切られやすいサイズのミノーだが、レンジを下げる事を優先して選択。
使い込んだルアーで複雑な流れを感じながらフォールさせる。

数投目、こちらに吐き出す流れの中で、
わずかにミノーを上流側に引き込む流れを感じ、ルアーをその流れに乗せる。
ひと呼吸分送り込んでからトゥイッチしたミノーが5mほどこちらに来たところで、
「グゥー」
と押さえ込まれるような感覚。

再度同じ波にミノーを乗せて送り込み、今度はポーズを長めに取りながらも、
シャープにロッドを弾いて一段深いレンジを縦のアクションで探ると、
「ズンッ」
とロッドに大きな重みが乗ってきた。
スイープ気味にアワセを入れると、
「グワン、グワン」
と抵抗する魚。
そのまま白泡の下から引き出すと、目の前の流れで予想よりも大きな魚が暴れる。
太い魚体は体側まで茶色く、大きなヒレに白い縁取りが見えた。

「やっぱり!」
かなりの重量感でドラグを逆転させてPEラインを引き出し暴れる魚だが、
この『リバロス キャニオニック60M』なら全く不安感がない。
さらに、意外に早く魚から体力を奪っている印象。
「もう大丈夫か?」
ためらいながら寄せた魚だが、
最後の抵抗もないので、そのまま引き寄せてランディング。

「いかつ!」
テールのフックが広い上顎の内側に2本掛かっていたが、少し開いていた。
鋭く大きな歯にラインが切られなかったのは、ミノーが大きかったからか。

大きくシャクレ上がった下顎に、割れた上顎。
大きな尾ヒレと傷だらけの体。

なぜか目は大きく、どことなく可愛げ。
頼んでもいないのに何度も大きく口を開けてサービスポーズを披露する。
最近のバラエティー番組で「ハッスル」する、
Vシネマの極道・某俳優を思い出してしまった。

リリースすると、チラッと後ろを流し見るようにこちらを見たような…
そのまま悠々と深みに泳いでいった。

気付くと周囲は完全に明けていた。じっとりと汗が滲むが、そう快だった。