リバロス キャニオニック52L | |
プラスチック製シンキングミノー53mm | |
ルビアス2004H | |
PEライン0.8号&フロロカーボンリーダー6ポンド | |
ブレイドバー ガンメタ |
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長野県 千曲川(ちくまがわ)某支流 | |
2014年9月17日 | |
午前7時40分 | |
曇り | |
未計測 | |
14℃ |
車を降りると、足元に水引草の赤い花茎が細く伸びていた。
ヨシの穂が大きく開き、払うと花粉が舞う。花粉症の身にはつらい。
川岸までのそこここにジョロウグモの巣が連なり、行く手を遮る。
川の水が随分と冷たくなってきた。
ひざ上まで立ち込むと、寝ぼけた頭が少し晴れた。
日ごとに、秋の深まりを感じることができる。
なぜ、トラウトアングラーは秋のヤマメに特別な目を向けるのだろう。
釣りとして難しいのはもちろんだが、
身にまとった色彩の深さに心引かれるからなのか。
産卵に向け川をさかのぼり、子孫を残して土にかえる、
そのドラマに胸を打たれるからなのか。
自身の心情が、深まる秋の風情を無意識に探しているからなのか。
今年の千曲川水系を象徴するような細いヤマメが釣れた。
本流からの魚らしく、わずかに銀化の跡が見え、
体に厚みはあるのだが体高は極端に低い。
盛期に釣れたなら、がっくりと肩を落とすようなプロポーションだが、
秋色に色付いた魚体に思わず見入ってしまった。
雄のサビた色目も印象的だが、雌の持つ紫紺と赤紫のグラデーションは素直に美しい。
大きく張ったヒレとシャープな鼻先が、
スレンダーな魚体と不思議と調和がとれているように感じる。
鳥に傷付けられたのか、目の後ろに残る跡が、胴の細さと相まって、
この魚がくぐり抜けてきた自然の厳しさを物語っているようだった。
冷たい水に放つと、静かに流れへ消えていった。
車に戻ると、その先に黄色く染まった稲穂が風に揺れているのが見えた。
早く家路に就こう。
しかし、冷たい流れに立ち込んでいたおかげで、腹が…
これも、秋のあるある。
キュルキュル、
「はうっ」
「ま、まずい、も、最寄りのコンビニは…」