リバロス ブレイドウィザード90H
ロンズ スローシンキング9cm Sアユ
10ステラ4000XG
PEライン20ポンド&ナイロンリーダー20ポンド
プラウ90SL
ブレイドバー ブロンズ
ネットバンド ブラック
コットンツイル・ロゴキャップ ダークオリーブ
福井県 九頭竜川
2012年3月10日
AM11:55
曇りときどき晴れ
9℃
7℃
アングラー:植松千英(うえまつ ちひで) 長野県諏訪郡在住

2012年、サクラ鱒シーズンの到来だ!

「今年も美しいサクラ鱒に出会うことができるのか?」
と日を追うごとに思いを募らせる今日このごろ。
今年の開幕戦は、サクラ鱒の聖地とされる、福井県の九頭竜川に決めていた。
なぜなら、このブランドリバーのサクラ鱒を釣り上げたことがないからである。
数年間、長野県から遠征を繰り返していたが、
「バラシやノーバイト」といった、辛く、悔しい思い出しかない。
私にとっては、とても聖地とは思えないのが九頭竜川であった。

そして、本流鱒釣り師たちは皆、
この名門・九頭竜川で一度はサクラ鱒を手にしてみたいという熱い思いから、
春になると遠方から遥々集まるのだろう。

3月に入ると、雨と気温の上昇による雪シロで増水。
今回はかなりの増水で、水位は中角(観測所名)で軽く2mを突破し、
そのおかげでたくさんの鱒の遡上が期待できそうだ。
そして増水による水位が下がり始めた九頭竜川へと、再び深夜に車を走らせた。

3月9日早朝2時に、下流域の通称・カントリー前のポイントに一番乗りで到着。
日が昇り明るくなると、周りは気合の入った釣り師たちがズラリと並んでいる。
やはり皆この減水のタイミングを狙っていて、今朝の川に立っているのだ。

釣りを開始して、昼を過ぎても釣果はなく、
「鱒の遡上はないのか?」と心配になったが、
そんなことはないと自分に言い聞かせてロッドを休みなく振る。しかしノーバイト。
気がつくと辺りは暗くなり、夕日は沈んでしまっていた。

翌3月10日、朝。
中流域で、昨日の朝にサクラ鱒を釣ったという釣り師から話を聞き、
その上流へ入ってみたが、またしてもノーバイト。

近くで釣りをしていた静岡県からの友人に会い、情報交換をすると、
いま自分たちのいる通称・水道局前中州のすぐ下流に、
フレッシュランのサクラ鱒の御一行(群れ)がいるということが分かった。
この場所にとどまることに決め、比較的攻められていないポイントを探すことにした。

このランのヒラキのリフル帯の一部に、水深の深い場所を見つけた。
その川底のくぼみの上流から、ルアーでU字を描きながら釣り下る。
川底のくぼみの真上で『ロンズ スローシンキング9cm』SアユをU字ターンさせ、
直後に左右へダートさせるようなアクションを演出した。

まさにその時、ロッドが倒されるように「ドン」と水面に引き込まれる。
『リバロス ブレイドウィザード90H』を真上に跳ね上げるようにして、
ロングロッドでアワセを一発入れた。
『リバロス』は曲がり、「グン、グン、グン」とサクラ鱒特有のヘッドシェイクが始まる。
九頭竜鱒のヒットを確信した。

「ついにこの時がきた!」と思うと同時に、鱒は流れに乗り『リバロス』をさらに曲げ、
PEラインを「ジー」と引き出しながら下流へ走った。
急にラインテンションが緩んだかと思うと、
銀色に輝くサクラ鱒が、水面から垂直にジャンプした。
エクストラハイギアのリールを素早く回して緩んだPEラインを一気に回収し、
鱒に主導権を与えないようにしながら引き寄せる。

一定のラインテンションを保っていると、次第に鱒はおとなしくなった。
下流から自分の目の前へ、立派なサクラ鱒が悠然と泳いでくるのが見える。
『ロンズ』のフックがその口にしっかり掛かっているのが確認でき、安心した。

背中から『プラウ90SL』を外す。
2回ほど鱒の頭を水面から出すと、鱒はまったく動かなくなり、素早くネットイン。
ネットの中の鱒が暴れ、水飛沫があがる。
「やっと九頭竜川のサクラ鱒を手中にできた」という喜びが一気にこみ上げ、
川の中に立ったまま、『プラウ』の中のサクラ鱒を見下ろしていると、ふと、
今年はもうこの1匹で満足のような気がした。

そして「やはりここはサクラ鱒の聖地であるのか」と、
感動を与えてくれたサクラ鱒(体長57cm、体重2.0kg)と九頭竜川に対し、
感謝の気持ちでいっぱいになった。

2012年のサクラ鱒シーズンは始まったばかり。

とても幸先の良いスタートになったが、
果たして今年はこれから、どれだけのドラマが待っているのだろう?