ディノバ 80ミディアムランナー Sブラック/オレンジ
10ステラ4000XG
PEライン20ポンド&ナイロンリーダー20ポンド
プラウ90SL
ブレイドバー ブロンズ
富山県 神通川
2011年5月21日
AM11:30
快晴
23℃
14℃
アングラー:植松千英(うえまつ ちひで) 長野県諏訪郡在住

5月21日。
神通川サクラマス遊魚期間は残りわずかとなり、タイムリミットが迫ってきている。
“神通川渡り隊 with 庄川特派員”と命名・結成された仲間6名のチームが、
富山県の神通川と庄川でサクラマス釣りに燃えている2011年の春。

4月の解禁から神通川へ通うこと1カ月半が経過すると、
次々と隊員たちがサクラマスをキャッチし、
高い目標を達成するという好成果を上げる結果となった。

その後は、川は厳しい状態が続いている。
今日は、神通川で釣りをする今年最後の日になるのか?
何処で竿を振ろうかと考えたが、たとえ鱒は釣れなくても、
この川の上流域にはロッドを振っているだけで満足できてしまう、
自然豊かなロケーション最高の場所がある。

正午、その場所へ移動し、昼食をとろうとしていると、
曇っていた空から急に日が差し、青空が広がった。
川の中まで明るくなり、水色が一層奇麗に見えた。
「この広大なランをウェーディングして釣り下ろう!」
きっと気持ちが良いだろうと思い、川へ入った。

川幅は広く、水深もある。
いつもより長いロングロッドで、対岸までフルキャストすること数回。
『ディノバ 80MR』を流心のスリットに沈め込み、
カケアガリをトゥイッチングしながら鱒にアピールすると、
ロッドから「グン」という重いアタリが伝わり、アワセを大きく一発入れた。

遠く離れた流心脇でのヒット。
フッキングが十分ではないと考え、追いアワセも入れた。
すると、鱒が激しくローリングしているのが、ロッドから伝わってきた。

ヒットに気付いた仲間が、カメラを向けて近づいてきている。
鱒を引き寄せるのに時間がかかりそうだ。
バレないだろうかと心配し、胸を打つ鼓動が速くなり、緊張が走る。
そんなとき、以前『オーナーズパーティー!』で読んだある言葉が脳裏に浮かんだ。
「ノーバイトには希望もあるが、バラシは、本流鱒釣りにおける自殺行為だ」
仲間も下流から見守っている状況で、バラシは厳禁だ。

しかし、水深があるためこれ以上下ることのできない場所。
身動きがとれないので、少々強引にポンピングをする。
鱒を下流から寄せるためにリールを巻いたが、早朝からの釣りで腕も疲労していた。
鱒より自分が弱ってきていて、暴れる鱒をなかなか『プラウ90SL』に入れられない。

時間をかけて鱒を泳がせ、再度腕をいっぱいまで伸ばし『プラウ』に無理やりネットイン。

ネットに収まった鱒は、体長61cm、体重2.8kg。
欠損のない、とても奇麗なサクラマス。

釣りあげるハードルの高い鱒に、うれしさが込み上げ、
今日もこの川まで来たかいがあったと笑みがこぼれた。
神通川サクラマス遊魚期間は終盤を迎えていたので、
また美しいサクラマスに出会うことができたこと、
そして自分はこいつに会いに来たんだと思うと、いつの間にか疲労も吹き飛んでいた。

来年は何処の川で、また美しいサクラマスに会えるのだろうか。