リバロス ブレイドウィザード86MH
ディノバ 80ミディアムランナー Gレッド
06トーナメント ISO 2500LBD
PEライン20ポンド&ナイロンリーダー20ポンド
プラウ90SL
ブレイドバー ガンメタ
富山県 神通川
2011年5月17日
AM6:50
薄曇り
13℃
10.5℃
アングラー:坂谷内康明(サカヤチ ヤスアキ) 長野県北佐久郡在住

さまざまな縁があって初挑戦することに決めたサクラマス。

富山県の名川・神通川に、時間が許す限り通い続けること1カ月半。
はっきりと感じ取れるアタリも無く、追ってくる魚を見る機会も無く、
魚を掛けている人すら見掛けることができずにシーズンも終盤戦を迎えていました。

ある人は『気まぐれな魚』だと言い、
ある人は『運が必要な釣り』だと言い、
ある人は『無常』だとまで形容したサクラマス釣り。
仲間から同川の釣果報告が次々に送られて来ても、どこか遠い所の話のように聞こえ、
状況に合わせるべきポイントも、レンジもアングルもアクションも、
自分の選択すべてがいつしか怪しく思えていました。

長野県・犀川本流のレインボー・ブラウンを狙って、
ビッグトラウトの釣り情報をやみくもにあさっていたころから、目について仕方のない姿。
誌面に記される習性・メソッド…
ブラウン管に踊る銀鱗…
語られる魅力…
二次元の世界から挑発するように睨みつける目…
レンズに写る姿しか見たことのない魚をいつしか近く感じ始めていた自分を、
水底から見下しながら悠々と泳ぐサクラマス…

そんな精神状態を吹き飛ばした光景がありました。
移動後に入川しようとしたポイントで声を掛けた先行者がまさかのファイト中。
おかしくなり出していた自分に気付き、さらに仲間の励ましで力をもらい、
気持ちも新たに翌朝も川に入りましたが…

朝一番、釣果の集中していたヒラキを狙おうとしていたはずが、
誰かに聞いたのかその場所からほとんど下ろうとしない対岸の先行者を避けて、
仕方なく上流の落ち込みから始めて数投目、ネットに収まってしまったサクラマス。

緊張から解放されて歓喜、やっと出た釣果に安堵、
しかし残ってしまった『釣れちゃった感』。
ネットの中で両手で支えてみても、何故か遠くに感じてしまう釣果…
何年も川に通って。何本もバラして。
そんな辛い経験も多く聞くサクラマスを、初挑戦の年に手にすることができた幸福が、
ビギナーズラックという現実にすり変わっていく今日このごろ。

もし仮に、いつか誰かにサクラマス釣りを語れるだけの経験を積むことができたとして、
その時には『近くて遠い』あの魚との距離感を変えることができているのでしょうか。