リバロス ブレイドウィザード76ML
ステラSW4000HG
PEライン12ポンド&ナイロンリーダー12ポンド
岐阜県 某本流
2009年5月10日
AM 9:00
曇りのち晴れ
未計測
15℃

今年のゴールデンウィークは遠征先の長野県犀川で惨敗。ぜんぜんゴールデンではない休暇を過ごした。
流れの鱒釣りを教えてくれた、釣りと他人の朝寝坊にはめっぽう厳しい先輩と現地で合流したのだが、自分の釣りの未熟さを教えられた。

先輩が大釣りをする中、私は痛恨のワンチェイスのみ…
次の休日も本流に立つ。もうそのときに決めていた。
とにかく鱒に飢えていたのだ。

そんな無念を心の奥に秘め、ゴールデンウィーク翌週末、地元の本流に立った。
前日に降った雨の影響から、川には濁りが入っている。水温13℃。
朝一番に入ったポイントの対岸にはエサ釣り師の姿。
ラインシステムを組みながら見ていると、何匹か尺前後の鱒を釣り上げている。よし、このポイントには魚が入っているようだ。

エサ釣り師の邪魔にならない対岸から『リバロス ブレイドウィザード76ML』とフローティングミノー、PEラインのシステムで、やや緩めの流れから釣り下る。
さらに流れが緩くなる辺りで突然のバイト。そんなに大きくはない。
小気味よい引きを堪能し、ネットに滑り込ませる。30cmの虹鱒だ。
朝から自分を楽しませてくれた魚にお礼を言いリリース。
幸先よく鱒と遊ぶことができた。ぜいたくを言うとあとはサイズ。

調子に乗り、そのポイントを釣り下るもノーバイト。
そして、次のポイントも、その次のポイントも。
ゴールデンウィークの惨敗が頭をよぎる。お願い、夢なら覚めて…

AM9:00、さらに次のポイント。
雲の切れ間から太陽がのぞいている。
水温を計ると15℃。朝から2℃上昇している。
パターンを変え、シンキングミノーで底をコツコツと探る。
ややアップクロスにキャストし、ロッドを高く掲げ、ラインにドラグをかけないようにし、ルアーをナチュラルに底へ送り込む。

数投目、コツコツと底をたたいたルアーにテンションをかけ、底付近をドリフトさせた直後、
「モゾッ」
というわずかな違和感を覚えた。軽くあわせをくれる。
「グンッ、グンッ」
首を振っている感触がロッドとPEラインを通し、敏感に伝わる。魚だ。
すかさず、追いあわせをくれてやると、魚は嫌がり下へ下へと突っ込んでいく。重々しい引きだ。

何回かの突っ込みをかわすと、魚は疲れたのか、流れの中に定位し始めた。
このタイミングだ。トルクフルな『リバロス ブレイドウィザード76ML』のバットを信じ、プレッシャーをかけ、興奮でほっぺたをパンパンに膨らませ、魚を浮かせにかかる。
濁りの中から魚が見えた。虹鱒だ。

やばい、尻のハリの1本だけが口に掛かっていて、今にもバレそう…
考えてばかりはいられない。間髪入れずスプールを右手で押さえ魚を寄せて、さらにほっぺたをパンパンに膨らませ、やや強引にネットに入れ込む。

ああ、やっとキャッチすることができた。41cmの虹鱒だ。
やや小ぶりだが精悍な顔つきをしている。
心の底からじわじわと喜びが込み上げてきた。なぜか目頭が熱くなる…

「奪えるだけ奪え。それが後輩の責任だ」
そう言ってシンキングミノーの釣りを惜しげもなく見せてくれた先輩。
犀川での2日半、私はすべてのポイントを先行させていただいたのにノーフィッシュ。
その為に肩身の狭い釣りを強いられた先輩は、それでも太い50cmクラスを連発。
ダメ後輩の釣りを咎めることもなく、
「寝言で釣りてぇ〜だけは勘弁して欲しいよ」と先輩は笑っていた。
この次、川でお会いするときには、先輩が大好きなあのソーセージを持参しようと心に誓う。

本当にありがとう。
手早く数枚の記念写真を撮り、
丁寧に、優しく、そっと魚を流れに戻してあげた。
感謝の気持ちを込めて…

流れの本流鱒釣りは、まだまだやめられそうにない。